NY流ラクラク必勝法 v.s. 努力教・ありがとう教の日本

ニューヨークから一時帰国してしばらく経ちますが、未だに電車に乗るのがコワイです。だって、日本人(アジア人)ばかりだから(笑)

アメリカでは人種差別の問題が深刻な分、個人間の比較・格付けムードは弱い気がします。周りにいろんな人種がいるので、「人と違って当たり前」と思えて、気楽。

――そんな私が、今日は日本の不思議な印象を並べつつ、NYで教わった必勝法をちょっぴりシェア致します。

ナゾの努力信仰

日本では、とにかくみんなマジメ。「辛さや失敗にめげずに頑張ってます」という人がウケますよね。

その件に関して、だいぶ前に読んだマラソンの瀬古利彦選手のエッセイが忘れられません。(多くの国際大会優勝やオリンピック出場を果たした名選手)

山の合宿所に、大手新聞社が取材に来たそうです。「雨降りだけど走ってきた」と話したら、インタビュアーは「大変ですね」。

瀬「いや、走りたくてたまらないので」

新「でも、走りたくないのに頑張って走ることもあるのでしょう?」

瀬「いや、大好きで楽しいから、そんなことはありませんよ」

新「でも……」(以下、同じ問答の繰り返し)

しまいに新聞社は「これでは記事にならない」と、帰ってしまったそうです!

「辛いことをしなくては」という努力信仰が、日本ですよね。

ニューヨークに住み始めた頃、上手くいってる周りの先輩たちがくれたアドバイス。「スキルを上げる努力をするヒマがあるなら、今のままの自分を活かしてくれる場所を探せ」

これに従ったおかげで、ピアノの仕事は思い通り以上になっています。

自分を活かせる場所を得れば、やる気がわいて耳より情報も集中。良きライバルもいるので、自然とスキル・レベルは上がっていきます。

音楽の世界は、少々特殊かもですが……。努力が必要な時点で、既に勝ち目はありません。とくにアメリカには、何も練習しなくてもスラスラ弾けてしまう「化け物」がウヨウヨいるので……。

努力ではなく、自分でも勝てるニッチを見つけることが急務。

歓迎されない場所では「辛さや失敗にめげずに頑張る」よりも、適度な頃合にサヨナラして他を当たってみては?

感謝すれば運が開ける? 

成功法則の元祖アメリカでも、感謝の大切さは聞かない訳じゃありません。元気で生きてることには感謝!

だけど日本では「どんなに政治が悪くても、安全に感謝」のように洗脳され、すり替えられている感じ。感謝の効能にごまかされている感じがします。

感謝で得られるという幸運は、確かにコンクールやコンテストなどに欠かせないもの。

とりわけ創作の分野では、「最後は審査員の機嫌次第」ということもあります。その昔日本で、ある企業が新製品キャンペーンとして作曲コンテストを主催したことがありました。

私も審査に関わりましたが、予選を経て選ばれてきた子どもから大人までの作品は、どれも素敵。完成度にあまり違いはありませんでした。

何位になるかは、くじ運みたいなものでしょう。そのような結果に一喜一憂するのは、時間の無駄。

また、文学新人賞に挑戦している俊才から直接聞いた話。若い彼女は、それまで度々最終候補まで残っていました。で、最終に行かない作品は全て「一次落ち」だそう!

「突出した作品は最初に蹴られやすい」とすれば、「ありがとうございません」。そんなことを嘆いても時間の無駄

このように、審査は所詮は水物。だから、選ばれる水準の実力さえついていれば、実際に選ばれても選ばれなくても、いつか誰かが拾ってくれるでしょう。

だとすれば、無理に感謝して運を上げる必要もないのでは?

「感謝して開運するならラク」と思う人が多いのかもしれませんが、もっとラクで有望な方法がありますよ。

イメージすれば引き寄せる?

日本で流行の引き寄せも、信じない訳じゃないけど……。

自信家でないと、なかなか自分の成功イメージは持てません。

ことに勝手がわからないアメリカでは、何もかもが「無理そう」に見え、「どんなことを望めばいいか?」すらわからなくて……。

ロサンゼルスまで専門家に聞きに行ったりしました。↓(ボーカル曲がボツになった話)

 

日本でも、私のように「何がしたいかわからない」という人がいるそうなので……。

まずはありもので簡単なデモ(プレゼン資料)を用意し、判断力のある成功者の意見をきいてみては? 私の場合は、上記含む二人の業界専門家に「ピアノ曲をリリースすれば?」と言われました。

そんなこんなで、ピアノ・アルバムを出して3か月弱で、音楽配信再生回数は57万回超え。

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↓ブルックリン発のゴスペル曲 ”God Surprised Me”の歌詞は、NY流必勝法の象徴。「神は望みのない私に答えを与え、その慈愛とパワーで私を驚かせた」と歌われます。

 

私のユニット共演者キャロルがバイオリンを弾いている、グラミー賞受賞のゴスペル・クワイア。カッコいい! キャロルが大映しになるシーンも。

人間の想像力には限界があります。だから、引き寄せイメージを自分で作るより、アドバイス通りにトライして結果を待つほうが、思いがけないリターンがあるような気がします。

成功がウソっぽい

アメリカの友人は、たいていキリスト教かモスリムのどちらか。後者は豚肉を食べず、お酒も飲まないので、入るお店には気を遣います。私も生まれた時からのクリスチャン(熱心な信者ではありませんが)。

日本は宗教色が薄いので、代わりに前出の「努力」や「感謝」が宗教になってる印象があります。

「成功」もそうですね。アメリカでは、成功は「実生活の行く手に見えているもの」といった認識。取り組んでいたものが首尾よくブレイクした友人・知人を見て「アメリカン・ドリーム!」って言います。

一方、日本に輸入された成功は、宗教みたいに曖昧で、フワフワな誘惑に見えて……。

成功を目指すのはいいけど、知らぬ間に「信者」になっている人が多くありませんか?(笑)

まとめ~日本のクリスマスのように

昨夜、フォルバレーノ(ピアノ・ヴォーカル・デュオ)のライブに行きました。帰り、東急東横線渋谷駅を通りかかったら、発車メロディがジングルベルだった!

クリスチャンとして、根拠のない日本のクリスマスが「けしからん」とは、全く思いません。街が活気づいて楽しい雰囲気なのは、ウキウキしますよね。

NY流必勝法も同じ。以上見てきたように、自信や努力という根拠がなくても、問題ありません! 

日本では「無理めなことに挑戦し、自分にプレッシャーをかけてランク・アップしていく」という成功法も広まっていますが、どうなんでしょう。

辛い努力で水増しした実力は、自分そのものではなく、ハリボテ。短期間(受験期など)なら有益でしょうが、続ければいずれは燃え尽きますから……。

 

NY流は、無理して難しいことをしなくても大丈夫。新しい自分の場所を見つける気になればOK。人や情報が集まって、自分を押し上げてくれますから……。

ラクラクできる、今あるもので勝負するのが最強です。各種宗教は忘れて!

◇あとがき……お知らせ

日本の神社のご利益の大きさには、いつも助けられています。例えば、ワーク・ビザ(アーティスト・ビザ)の大使館面接の前に「上手くいきますように」とお祈りしたら、神社の出口で「大丈夫だから」という声が聞こえたんです。

当日の受け答えに大失敗したにもかかわらず、奇跡的にビザ・スタンプが降りましたw。

冒頭写真の奥沢神社が行きつけですが、最近は参拝客が絶えず、落ち着いてお祈りできない!

「なんでかな?」と思ったら……。今、こちらの本などが話題で、ハウツー書に「効果がお墨付きのパワースポット」として紹介されているのです……。別にいいけど……。

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「クリスチャンなのに、なんで神社?」って、聞かないでください(笑)

明日、神楽坂でジョイント・コンサート。オリジナルのクリスマス曲(失恋ソング)弾きます。お時間あればぜひ!