ニューヨークでライブハウスに出るには〜日本からでも応募可

全米でも最難関のひとつとされる、ニューヨーク市内でのライブ出演。

……偉大な音楽を産み続けてきた街ですからね。ブルックリンを走るメトロの路線名 JとZが、あのジェイ・Zの芸名の由来にもなってます。

商用音源制作がメインの私は、ピアノ生演奏が本業という訳じゃありません。なので、それほど事情通ではないのですが……。

ジャズ以外では日本人はめったに出てないので、結構レアな情報では……w。ざっとHow toを知れば、もう本場での音楽活動の第一歩!

(無料記事ということで、詳しい数字や固有名詞は省略ぎみで――)

ライブハウスに応募するための大前提

「ニューヨークでどこかのライブハウスに出演したことがある」というのが、応募条件です。いきなりの、ハードル(笑) 

とはいえ、俳優業と違い、ビザやソーシャル・セキュリティのあるなしは、全く問題にされません。「ESTAで旅行ついでに出演」だって、できちゃいます。

なので、ミュージシャンの知りあいのツテがあれば、バンドの一員としてどこかのライブに潜りこませてもらう→次回からは「出演経験あり」と言って応募する……といったことは可能かもしれませんね。

無理なら、「オープン・マイク」作戦です。カジュアルなべニューでは、誰でも飛び入りでステージに上がれる日を設けています。

そのパフォーマンスで観客を沸かせ、オーナーに気に入られれば、正規のアーティストとして出演のチャンスをもらえるというわけ。

私の場合、ニューヨークの音楽フェスティバル出演でお世話になったエージェントが、有名べニューでイベントを企画。私はシンガーの共演者としてブッキングされました。これがライブハウス初出演。

この実績を利用し、次回からは自分で組んだユニットでオーディションを受けました。

ブッキング・エージェント & 直応募

さて、オーディション方法は、ほとんどが動画審査です。以前のステージ映像、あるいはスタジオでのビデオ録画でもいいよう。

ちゃんとしたべニューでは、コピー曲はNG。サイトなどの応募要項を見て、オリジナル曲を用意します。

合わせて、バンドや個人のプロフィールも必要。話を盛りつつ、コンパクトにまとめるのがコツです。

応募は、オンラインでオーケー。直接応募できるべニューもありますし、エージェント経由も王道でしょう。ライブのブッキングを専門としているエージェントの審査に通って登録すると、ブッキング可能なべニューのスケジュールを流してもらえます。

それ以外に、DIYミュージシャン向けプロモーション・サイトの会員になることで、応募できる出演チャンスも。登録にお金がかかるなどの理由で、オススメではありませんが……。

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メトロ構内の案内板です。ジェイ・Z!

べニューの種類別☆攻略法

最初は有名どころは避け、まずはこぢんまりした、そこそこ人気のべニューを標的に。

求められるセンスと自分たちの音楽の内容が合致していることが、合格の決め手です。出演者の演奏レベルは、やっぱりメチャ高いですけどね。

不安なら、ハイ・クオリティの打ち込みをメインにする手があります。ヒップホップ系のアーティストなんか、リズムばかりか上物までほとんど打ち込み&カラオケですよ(笑)

それでも心配な場合、審査が甘そうなレストラン・パブ系べニューを狙うという手も。BGMバンド的な扱いで、音楽キャリアとしての価値は疑問ですが……。

こうしたべニューは音響設備がゴージャスな分、動員要求はきつく、チャージバックの割合も低いそう。でも、話題づくり・想い出づくりにはよいかも……。

観客を必死にかき集める覚悟で多めの動員見込み数を申請すれば、アドバンテージになります。

少数ながら、動員の義務は無しでじっくり演奏を聴いてもらえるべニューは存在します。ミュージック・パブ系や、イベント企画組織が運営するテーマ・ライブなど。

いずれも、出演者を公募している場合が割とあるので、タイムリーに情報を拾って

どのタイプにも共通ですが、各べニューの出演者のYouTube などを子細にチェック。脈がありそうな嗜好/レベルの募集にだけ応募するのがキモですね。「数打ちゃ当たる」は無駄に終わります。

相変わらずヒップホップが全盛の土地柄。それ以外のジャンルの方は、気をつけて!

 

ニューヨークの人気べニューTop10に入る Pianos でのライブ。アメリカ人アーティストたちと組んだ私のユニット Powdered Sugar 

最近の残念な傾向

あまり盛り上がっているとは言い難い、ニューヨークのギグ事情。

冒頭の写真は、イーストヴィレッジの隅にある、バー併設の小規模なべニュー。私のユニット Powdered Sugar のステージです。

で、私たちの次に出たボーイズ・バンドに唖然。観客が、一人もいないんです。メンバーが4人いるのに、誰も人を呼んでないんでしょうか?

観ているのは、居残っていた私の知り合い数人だけ……。

タイトなギター・ロック・バンドで、スピード感溢れるストレートな音はめちゃくちゃカッコよかった。それだけに、考えてしまいました。

べニューも、アーティストに頼らずもっと集客を工夫したらいいのに。アーティストも、超有名人でない限り、少しぐらいは人を呼ぶのがマナーでは?

これは2016年のギグ。この時のエージェント会社は、動員にはうるさくなくて、ノンビリしたもの。私たちのような新参者でも、金曜土曜のトリを取ってもいいと言われてました。

けれどそれ以降、アーティスト側に課せられる動員要求は、全体的に厳しくなった実感があります。

無理して人を呼ぶ他にも、シーンを動かす方法ってあるんじゃないか?……なーんて、模索中!

もしもチケットノルマなんて言われたら、やめといた方ががいいのでは。(人が来なかったら、後でその分のチケット代を払え……とかいう応募規定もあるので、要注意)

LAのライブ・シーンは、NYよりも最先端か?

最近の若いニューヨーカーは、ジャンルにこだわらない幅広い音楽趣味。Pandora(Spotifyみたいなサービス)とか聴いてる子は多いです。(日本にはまだないのかも?)

一方、ライブ・シーンでは、ヒップホップを優遇する大手べニューがまだまだ根強い感じ。マジョリティにはウケるし、ノれますから、わからないではありません。

だけど、時代とはズレてる気が……。現に、音楽シーンのイニシアティブは、完全にウエスト・コーストに持っていかれてます。音楽に幅があり、独自のジャンルが常に生み出されてますから。

主要な音楽カンフェレンスは、全てブームタウンであるLA開催。やむなく私は、長旅ではるばる参加するしかなくて……。

そんなカンフェレンス内では、参加者がエントリーできるプライベート・コンテストがたいていあります。レコード会社のA & R や売れっ子プロデューサーが審査員で、メジャー・デビューのチャンスも……。

 

こちらのビデオは優勝チーム。彼等のようなカリフォルニア勢はさすがに強く、ホーム感を見せつけます。エンタメ性では太刀打ちできませんね。

ところが、ハッとするような斬新な演奏をするのは、遠征のニューヨーク組だったりします。アーティスト性が際立っていて……。

新しい音楽は、もちろんニューヨークにもあるんです。

かくいう私とて、LAの活況には焦ります。カンフェレンスでは、著名な女性Music Supervisor(ドラマ Breaking Badの選曲家、NY出身)に「LAに移ったほうが有利?」と相談。そしたら、「そんなの、やりたい音楽の種類による」と一蹴されました(笑)

音楽で世界に殴り込みたい方、ぜひ一度ニューヨークにいらしてください。暮らしやすく、チャンスはゴロゴロころがってます。競争ストレスもロサンゼルスほどではないかも。

お待ちしてまーす!!